マルシェに出店し、コーヒー豆の手売りを始めようと思った“きっかけ”

マルシェの出店風景コーヒーのこと

焙煎で悩むようになる

私は、コーヒーがとても好きで、自分で抽出して味わいを嗜むことをライフスタイルの一部に組み込んでいました。

いつしか、自分好みの味わいを作ろうと思い、自らの手でコーヒー豆を焙煎するようになってきました。

最初は、失敗も多く、どんなに工夫を凝らして抽出を行っても、渋みが強く出てしまったり、焦げ臭かったりするようなコーヒーにしかなりませんでした。

しかし、200回ぐらい焙煎を重ねると段々と失敗も少なくなり、抽出しても渋みも焦げ臭くもない綺麗なコーヒーを抽出することができるようになりました。

すると焙煎することがとても楽しくなってきて、もっと美味しいコーヒー豆を作りたいと思うようになりました。

良質な苦味を出すためにはどうすれば良いか。

フレーバーを際立たせるためにはどうすれば良いか。

尖った酸を出さないためにはどうすれば良いか。

甘みを出すためにはどうすれば良いか。

日々、試行錯誤を繰り返し、さらに美味しい焙煎に仕上がったのでは?という領域まで辿りつくことができました。

しかし、本当に美味しく焙煎できているのか、私には全くわかりませんでした。

それをフィードバックするものが、自分自身の味覚しかなく、自己満足に終わってしまっている可能性があったからです。

マルシェに出店してコーヒーの手売りをしよう

私は、次第にもどかしくなりました。

自分だけ美味しいと感じるだけで、終わらせたくなかったのです。

自分が美味しいと思うコーヒーを、他の人にも共有し、一緒に共感してもらいたい。

自分で焙煎したコーヒー豆が本当に他の人にも美味しいと思ってもらえるのか知りたい。

その気持ちがだんだんと強くなってきたのです。

ならば、すぐにでも共感したり、知ってもらえるようにしよう。

そして考えたのが、マルシェに出店しコーヒー豆の手売りをすることでした。

消費者のコーヒーに対する嗜好を聞き、その嗜好に近いコーヒー豆を使ったコーヒーを試飲してもらうことで、自分の焙煎したコーヒーを知ってもらい、評価・共感してもらおうと考えたのです。

コーヒー豆の手売りは簡単にはいかない

焙煎したものを、買ってもらい、飲んでもらえる。

実際、コーヒー豆の手売りは、そんな簡単な物ではないことを理解していました。

消費者は、個人で出店している生産者に甘くはないのです。

特にマルシェが好きな人は、物の価値を見定める慧眼が本当に優れています。

焙煎後の梱包はどうすれば良いか。

商品の棚の設置はどうすれば良いか。

商品を知ってもらうアプローチ方法はどうすれば良いか。

考えることは多岐にわたりました。

それ以前に、出店のために必要な書類を準備・提出するだけでも大変でした。

このように生産者の苦労が身に染みて理解できたことは、本当に良い経験でした。

自分の焙煎に疑問を持つようであれば、マルシェの出店を強くお勧めします。

自分の技術に磨きをかけるだけでなく、将来、自分の店を持つ際に、この出店作業がとても重要だと思うからです。

実際に、これ以降、私はマルシェへの出店を積極的にするようになりました。

そして、このようなハードルを何度も乗り越えていくと、生産者と消費者をつなぐ“人の温かみ”が生まれることを実感できてきます。

なので自分の技術に疑問を持っている生産者の方がいたら、ぜひマルシェへの出店を考えましょう。

それが未来の自分の投資になると思います。

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