コーヒーインストラクター2級の合格率が80%であるのに対し、コーヒーインストラクター1級の合格率は30%と極端に低くなっています。
これはコーヒーインストラクター1級という資格が、“商業者としての資質をしっかり備えた人のみに与えられる資格”であるということを暗に意味しています。
コーヒーインストラクター1級の試験範囲は2級の倍近くありながら、2級の知識をベースにさらに発展させた試験内容となっています。
2022年度の筆記試験を受けて感じたことは、確かに理解力が試される問題が多かったように思います。
一方で、「こんな問題も出るの?」と苦戦を強いられた問題もありました。
合格ラインは80点以上なので、そういった受験者の多くが落としているであろう問題は覚えなくても良いかもしれません。
しかし、試験対策を行なっていく上で、どういった問題が出題されたのか知りたい方も多くいるのではないでしょうか。
そこで、今回は2022年度のコーヒーインストラクター1級の筆記試験の過去問題を振り返っていきたいと思います。
そして2023年度以降にコーヒーインストラクター1級の試験を受験する方の一助になれば幸いです。
ぜひとも、1級の合格を掴み取っていただきたいと思います。
この記事は次の方々に向けて発信しています。
- コーヒーインストラクター1級の合格を目指している方
- コーヒーインストラクター1級の試験対策をしている方
- 2022年度の筆記試験の過去問題を知りたい方
地理問題
例年出題されるという、お馴染みの地理問題です。
世界地図に記載された記号の中から、2022年度は「エチオピア」 、「ペルー」、「ジャマイカ」、「ホンジュラス」、「ベトナム」の国の場所を答えさせる問題でした。
各国の主な精選方法や収穫時期(4〜9月or10〜3月 )、そして格付けも併せて答えさせる内容となっており、合計20問分ありました。
しかし、地理問題は2級でも出題されていると思いますし、ここは受験者全員の点の稼ぎどころです。
特に「ベトナム」の場所は意外と間違いやすいので、試験前に一度チェックすることをオススメします。
○×問題
○×問題は、6問程度と非常に少なかった記憶があります。
以下○×問題で出題された内容を列挙していきます。
- 熱風焙煎の主な伝熱は“伝導”である→ ×:対流
- リオは、乾燥時の“果実”のバクテリアによって発生する。→×:コーヒーチェリーに地面の土壌菌が付着することによって発生。
- エスプレッソは、高温高圧で“短時間”のため、収率が低い。→×:短時間でも、高温高圧で抽出されるので収率ははるかに高い。
- 褐色色素は、焙煎によって“高分子化”していく。→○:高分子化していくので、苦味成分などは抽出時の移動スピードが遅くなります。
- 「さび病」は、“涼しい”ところでも感染を広げる。→×:高温多湿で感染が広がります。低温多湿で感染が広がるのは「CBD」。
- ガス置換方式は、チャンバー式、ガスフラッシュ式、ノズル式に大別される。→○
筆記問題
続いて筆記問題です。
問題数はかなり多く、テンポよく解答しないと時間が足りない可能性があります。
この筆記問題を実際に解いてみた感想としては、“教本の内容をどれだけ自分の中で消化しているか”を問われているように感じました。
闇雲に暗記するのではなく、教本の内容をきちんと整理して臨むことが大切でしょう。
- ムンドノーボの特徴を2つ答えよ。→丈夫。収量が高い。ブラジルの主要品種。
- カトゥアイの特徴を2つ答えよ。→矮性。収量が高い。病害虫には弱い。
- マラゴジッペの特徴を答えよ。→丈夫で、果実は大きい。収量は低い。
- SL34の特徴を答えよ。→収量が高い。高知栽培に適している。
- 接木の①目的と②方法を述べよ。
- →①収量の増加、耐病性、環境適性の向上、大粒化などを目的として行われる。
- →②土台となる木の切断面と、繁殖させたい木の切断面を合わせて、切断面同士を麻紐などで固定する。
- 粗選別で取り除かれる果実2つ答えよ。→①過熟果実と②不完全果実
- 上記の2つがどうして生じてしまうのかその要因を答えよ。
- →①収穫時期が遅れたことにより果実が熟し過ぎてしまうことによって生じてしまう。
- →②交配時の遺伝的要因や、生育環境(日照条件や土壌等)により生じてしまう。(※この解答は自信がありません。)
- 水洗式は、その精選過程において良質なチェリーを選別することができる。その理由を「果実の特徴」と「分けられ方」という観点から述べよ。
- →水洗式の精選方法は、粗選別後にバルパー(果肉除去)を使って果肉を除去する。この時未成熟果実は果肉が硬く、果肉を除去することができないが、完熟果実は果肉が柔らかく、バルパーを使って簡単に果肉を取り除くことができる。これによって完熟果実の種子のみを選択的に分けることができる。
- パルプドナチュラルの工程を簡単に述べよ。→粗選別後、バルパーを使用し果肉を除去し、ミューシレージ付きのパーチメントコーヒーの状態で乾燥し、脱殻する。
- 風味特性以外で、パルプドナチュラルの①メリットと②デメリットを述べよ。
- →①バルパーによって未成熟果実の混入を少なくすることができる。
- →②ミューシレージ付きのパーチメントコーヒーは、豆同士がくっつきやすく乾燥ムラが起こりやすい。
- スクリーン選別の工程を簡単に答えよ。→異なるサイズの穴の空いたスクリーン(ふるい)を何枚か重ね、振動によってサイズ別に分ける方法。
- スマトラ式のデメリットは何か。→ 水分が残った柔らかい状態で脱殻するので、生豆を傷つけてしまう。そして、その傷口からカビが生えやすい。
- 同じ生豆でL値が同じでも、味が異なる原因は何故か?→焙煎を行う温度や時間によって、化学的変化で生成される成分が異なるから。
- 違う生豆でL値が同じでも、見た目が異なるのは何故か?→種によってアミノ酸、少糖類、クロロゲン酸などの含まれている成分が異なるため、焙煎によって生成される成分も異なるから。
- シードツリーの目的は?→温度差の緩和、浸食防止、低肥料化、防風、樹の寿命を長くする、果実の均一化、果実の品質向上。
- エージングの期間が夏と冬で異なるのはなぜ?→焙煎度と製品の状態(粉または豆)が同じと仮定した場合、温度が高くなるほど、炭酸ガスの放出は促進され、エージングの日数は短くなる。
- ブレンドコーヒーの目的は?→通年に及ぶ品質の安定化、コストパフォーマンスの向上、店の独自性を発揮させるため、味を創造するため。
- コーヒーの味を変える要因を答えよ。→どんなコーヒー豆を使うか。どんな水を使うか。どんな湯温で抽出するか。粉の挽き具合。湯と粉の接触時間。湯と粉の比率など。
- 冷蔵、冷凍保存後の豆を、常温に戻さずに使用すると品質にどういった影響が出るのか?→吸湿によって水分含有量が変化したり、抽出時の温度が下がってしまうことによって、成分の抽出が少なくなり、味わいに影響を及ぼす。(苦味成分が抽出されにくい)
- ダンパーの役割を二つ答えよ。→豆から発生するガスを排出する。焙煎機内や豆の熱を逃す。
- ブレードグラインダーの①メリットと②デメリット1つずつ答えよ。
- →①メリット:比較的安価に購入でき、構造がシンプルでメンテナンス(清掃性)も良好。
- →②デメリット:粉砕の安定性が悪く、微分が発生しやすい。
○×問題進化版
この他にも○×問題の進化版が出題されました。
「次の文章の中で間違っている箇所があれば、それを記載し、訂正せよ。特に文章が間違っていなければ、○と書きなさい」とする問題です。
- 粒度の均一性は“フラットカッター”が良い→ロールグラインダーが粒度の均一性は高い。
- “スプレードライ”低圧低温にしたエキスから昇華を利用して作られる→フリーズドライ
- コーヒー豆の使用量が生豆換算で5%以上のものを“コーヒー入り清涼飲料”と呼ぶ→コーヒー飲料
- アイスコーヒーは、高温抽出に比べて口当たりがまろやかで香り高いコーヒー→※この問題の解答は分かりませんでした。わかる方がいたら教えてほしいです。
- 灰分はカネフォラに多く、“水洗式”に多い→水洗式ではなく、非水洗式に多い
- 包装の要件は、防湿性、遮光性、保香性、“透明性”である→透明性ではなく、ガスバリア性。
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