コーヒーの精製方法「スマトラ式」について

コーヒーのこと

 

スマトラ式とは

スマトラ式とは、マンデリンなどのアラビカ種に代表されるインドネシア独自に開発された精製方法です。

スマトラ島スラウェシ島などの一部の地域で行われています。

ミューシレージの 残ったパーチメントコーヒーを十分に乾燥させない状態(水分量40〜50%)で脱殻(これを湿式脱殻とも呼ぶそうです。)し、その後さらに乾燥させて水分量を10〜13%にします。

これまで紹介した精製方法が、乾燥の“後”に脱殻するのに対して、スマトラ式は乾燥の“前”に脱殻してしまいます。

いまいち分かりにくいかもしれませんが、下記のようにコーヒーの乾燥する状態をイメージすると良いかもしれません。

  • ナチュラル:果肉
  • ウォッシュド:パーチメントコーヒー
  • パルプドナチュラル:ミューシレージのついたパーチメントコーヒー
  • スマトラ式:生豆

このように脱殻のタイミング、乾燥の状態が、その他の精製方法と異なってくるのです。

この生豆の状態で乾燥することが、後に紹介するメリット・デメリットに繋がってきます。

スマトラ式のメリット・デメリット

スマトラ式のメリット・デメリットは以下のようになってきます。

〈メリット〉

  • 乾燥時間が早い。
  • 特徴的な風味が生まれる。

〈デメリット〉

  • 生豆が傷つきやすい。
  • 傷口からの菌の侵入が起こりやすい。
  • ハンドピックによる選別が必要

コーヒーの栽培・生産において、はっきりと雨季と乾季が分かれていることが望ましいとされています。

インドネシアでは、雨季と乾季の境界が曖昧で、気象条件としては望ましくない環境でした。

いかに早く生豆の水分量を10〜13%にするかが問題でした。

そんな環境の中で、スマトラ式は生まれました。

生豆の状態で乾燥させることによって、ウォッシュドのコーヒーでも乾燥に1〜2週間かかるところを、このスマトラ式の精製方法ではわずか3日程度の乾燥時間で済んでしまいます。

雨季と乾季の境界が曖昧な気象条件の地域で生まれた素晴らしい精製方法とも言えます。

しかし、その生豆の状態で乾燥させるが故にデメリットも生じてきています。

予備乾燥の状態で脱殻するので、生豆が傷つきやすいのです。

傷つきやすいと言うことは、そこから菌が侵入し、カビが生えたりするリスクが増えてしまいます。

また生豆のまま乾燥させることで、独特な深緑色を呈しますが、これによって比色選別困難になるデメリットがあります。

つまり、最終的にはハンドピックによる選別が必要になります。

当然、その分の人件費が必要になってくるというわけです。

まとめ

インドネシアは、ベトナム、ブラジルに次ぐカネフォラ種の生産が非常に多い国です。

コーヒーの生産の90%は非水洗式のカネフォラ種ですが、アラビカ種においてはスマトラ式などの独特な精製方法があることを学びました。

生産地域の気象条件に適応させたスマトラ式の精製方法は、その経緯や特徴を知ると、より一層魅力的に思えて仕方ありません。

デメリットも数多くありますが、この精製方法でしか生まれない風味特性は興味深く、これからも探求していきたい精製方法の1つになりました。

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