私は、隔週で介護老人福祉施設に行き訪問診療を行っています。
その関係もあり、高齢者の方々と接する機会が多いです。
どの方もお話するのがとても大好きで、診療しながら自分の身の上話をたくさんしてくださいます。
「駄菓子が好きでね、孫たちがたくさんの駄菓子を持ってきてくれてんだよ。」
「最近、腕の調子悪くてね。思うように動かなかったけど、先生にほら、私の詩を書いてきたよ。」
そんな、ほほえましい話を聞くと心が和みます。
もちろん、暗い話題も時々出たりするのですが、すぐ明るい話をしてくださいます。
そこらへんは、私の気分を害してしまわないように気を遣って下さっているように感じます。
皆さんとても優しい方々です。
気持ちを察する能力は、さすが人生の先輩ですね。
経験値が違います。
さて。
その施設で最高齢の入居者さんがいらっしゃいます。
現在102歳で、来年の2月に誕生日を迎えます。
もう少しで103歳になります。
この世界に103年も存在しているんです。
1世紀も生きているってすごくないですか?
21世紀分の1世紀を生きているんですよ?
KREVA風に言うと、すげーアツくないですか?
ワインやウイスキーのような表現を用いたら、目の前に存在する入居者さんは、103年ものの体なわけです。
生きる伝説と呼んでもバチは当たらないと思います。
その入居者さんに、「若い時は、どこに住んでいたんですか?」と聞いてみました。
入居者さんは「ふぅ〜ん。若い時は鎌倉に住んでいたよ」とおしゃっていました。
「ちょうど川端康成や芥川龍之介のような文豪がたくさんいたんじゃないですか?」と私は重ねて聞いてみると、「ふぅ〜ん。確かに、私が住んでいた周辺では頭の良い執筆家が多かったわねぇ。」と。
100歳にして、この認知機能には驚かされます。
入居者さんはまだまだ衰えをしらず、時々現場のスタッフの身だしなみやちょっとした言葉遣いに対して注意してくれます。
恐るべし生きる伝説。
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