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若き作家の才能に惚れ惚れ
芥川賞を受賞したのであれば、分け隔てなく読まなければと思い、書店で手にしたのは宇佐見りんさんの【推し、燃ゆ】。
読み終わると、これはやはり芥川賞だわと感心。
アイドルの“推し“という言葉に最初は戸惑ったが、21歳の視点から見た現代的な題材に素晴らしいと感じました。
ところで、“推し”は、“ファン”という言葉と違うのだろうか?
“推し”の語源を調べてみると、“推薦”や“一推し”といった言葉から派生しているよう。
単なる“好き”よりも、“人に勧めたいくらい好き”という意味合いが強いみたいですね。
一方、“ファン”という語源を辞書で調べると、「特定の人物や事象に対する支持者や愛好者のこと」と書かれていました。
“熱狂的な”を意味するファナティック(fanatic)の略でもあるようです。
人に勧めたいほど好きの場合は“推し”。
人に勧めたくないけど好きの場合は“ファン”。
となるのだろうか?
いまいち“推し”という言葉の使い方がわかりませんが、これはこれで日本語の面白さがあって良いですね。
この小説をとても素晴らしいと感じ、私は好きになったのですが、人に紹介したいと思う気持ちもあるので、宇佐美りんさんの【推し、燃ゆ】は、私の“推し”ということになるのでしょうか?
読書環境が整っていても、読書が好きになるとは限らない
【読書をする子は○○がすごい】は、将来、子供を育てていくための資料として手に取ってみました。
読書が読解力や語彙力に繋がり、“学力”がすごく伸びる!といった内容。
家庭環境に本棚を設けると、本棚を設けていない家庭と比べて“学力”に差が出るという研究結果を著者は述べているのですが、ふと自分の家庭環境を思い出してみた。
実家の家庭環境を思い出すと、リビングや子供部屋には本棚が置いてあり、たくさんの書籍が置いてあった。
だから、著者の述べているような読書環境は整っていたかもしれない。
実際に両親もたくさんの書籍を読んでいたし、その姿をこの目で見たりもしている。
では、私自身、そんな親の姿や読書環境があったからといって、読書を嗜んでいたかというと、答えはNOだ。
また幼少期の学力は高かったかと言われると、それもNOと言わざるを得ないだろう。
実際に、私自身、本を読みはじめたのは20代後半になってから。
幼少期から両親は頻繁に私に読書を勧めて、宮沢賢治などの文学作品の魅力を説いてきたが、私は漫画ばかりを読んでいた気がする。
私は漫画も立派な読書だと主張するが、父からしたら絵本と同義だったのだろう。
次第に本を読まないことに父は怒り出す始末。
強制されることも嫌だったし、面白いと感じないものを読めと言われても、結局頭の中に内容入ってこないので、読んだふりだけをしていた。
それゆえに、父が定義している読書というものが一向に好きになれなかったことを思い出した。
父さん、私は不真面目ではなかったよ
読書が好きになれないというより、読書が嫌いだったといっても過言ではない。
文字が綺麗に隙間なく並んでいるのをみると、面倒に思ってしまい、読むのを逃げていたと思う。
それゆえに国語が大の苦手だったのも事実だろう。
「この文章を読んで、次の問いに答えなさい」という問題と正対すると、いつも決まって頭が痛くなってしまうのだ。
読書から逃げていたことによって、国語も苦手になってしまったと、=(イコール)の関係を心のどこかで作っていた。
しかし、実は違うかもしれない。
そう感じるようになったのは、宮口幸治さんの【ケーキの切れない非行少年たち】を読んでからだ。
この本の中で、著者は「非行少年の多くが知的障害とまでは定義されない、認知機能の弱さを抱えている」ということを述べている。
私はその内容に驚愕した。
つまり、認知機能の弱さがあることを理解してあげないと、いくら正論を言って非行少年を注意しても、理解すつことが難しいのだから社会復帰できませんよと述べている。
なるほど。
認知機能とは、記憶、知覚、注意、言語理解、判断推論といったいくつかの要素が含まれた知的機能を指します。
人は、五感によって外部情報を得て、それらを整理し、行動に移しますが、その過程で必要な能力がこの認知機能のようです。
ここで問題なのは、五感から入ってきた情報がすでに間違っていたり、整理の仕方がうまくいかなかったり、一部の情報しか受け取ることができなかったりすると、間違った行動をしてしまうようです。
例えば、先生から「35ページを開いてください」と指示されても、聞く力が弱ければ、そのページを開くことができず、やる気がない 、不真面目な生徒とレッテルを張られてしまう可能性があると述べています。
幼少期、自分が読書が苦手だったのは、読解力や語彙力、学力の問題ではなく、この認知機能が弱かったせいかもしれない。
父さん。私は不真面目じゃなかったよ。
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