ウォッシュドの精製方法とは
この精製方法は、水洗式、フリーウォッシュドとも呼ばれています。
コロンビアやグァテマラなどの中南米諸国、キューバやジャマイカなどのカリブ海諸国、ケニアやタンザニアなどのアフリカの地域といった世界で広く行われている 精製方法です。
まずコーヒーチェリーを貯水槽に入れ、ゴミや死豆など水に浮く不純物、そして重い異物が取り除かれます。
それらを取り除いた後、バルパーと呼ばれる果肉除去機でコーヒーチェリーの果肉を除去します。
果肉を取り除かれたパーチメントコーヒーは、表面にミューシレージ(ペクチンという多糖類)が残っており、これを取り除いていく工程が必要です。
この工程には次の2つの方法があります。
- 発酵槽処理による方法
- ミューシレージリムーバーによる方法
この発酵の有無や、処理時間の長短によって風味の差が出るそうです。
この工程で、ミューシレージという粘液質を除去し、それをさらに水洗し、乾燥させていきます。
ウォッシュドの精製方法のメリット・デメリット
ウォッシュドは、先ほど紹介したミューシレージを除去する工程によってメリット・デメリットが異なってきます。
ですが、いずれの工程においても、“精製方法の初期の段階で未成熟果実を取り除くことができる”のが最大のメリットと言えます。
〈ウォッシュドの総じたメリット〉
- ナチュラルに比べて、未成熟果実の除去率が高い。(品質が高い)
- ナチュラルに比べて、透明感のある味わいになる。
セミナーでは、総じたデメリットは、あまり言及されておらず、次に紹介するミューシレージの除去する方法によって、デメリットは異なるようでした。
発酵槽処理の場合
ここからは発酵槽処理によるミューシレージの除去によって、どのようなメリット・デメリットがあるか紹介していきます。
〈メリット〉
- 発酵による風味形成が狙える。
〈デメリット〉
- 発酵に時間がかかる。
- 人件費がかかる。
また発酵槽処理は次の2つ方法に分かれるようです。
- 「ミューシレージの付いたパーチメントコーヒー」と「水」を一緒に入れる方法
- 「ミューシレージの付いたパーチメントコーヒー“だけ”」入れる方法
①は、発酵槽の中でミューシレージが均一に分解されるメリットがあります。
しかし、水によって温度が下がり、発酵に時間がかかるデメリットがあります。
また大量の水が必要になってくるので、サスティナビリティの観点からも、デメリットと捉えられているようです。
一方、②に関しては、①のデメリットがないので、現在では②の方法を採用する地域が多いようです。
ミューシレージリムーバーの場合
続いてミューシレージリムーバーによるミューシレージの除去によるメリット・デメリットを紹介していきます。
〈メリット〉
- 豆本来のすっきりとした印象のコーヒーに仕上げることができる。
- 作業時間が短時間で済む。
- 品質管理がしやすい。
- 発酵槽がいらないので、省スペース化できる。
- 人件費が安く済む。
〈デメリット〉
- 機械を搬入する初期コストがかかる。
まとめ
ウォッシュドの精製方法は、工程の初期の段階で未成熟果実を取り除くことができるのが最大のメリットでもあります。
各産地による格付け方法に左右されてしまいますが、比較的、焙煎したコーヒー豆の中に未成熟果実の混入が少ない特徴があります。
風味の形成は、ナチュラルに比べてすっきりした印象になる傾向ですが、ミューシレージを除去する工程によっても、その風味形成は異なってくるようなので、精製工程の奥深さを実感しました。
次回は、パルプドナチュラルの精製方法についてまとめていきたいと思います。
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