AT小型限定普通二輪を取得するまでの道のり【その③】

AT小型限定普通二輪を取得するまでの道のり【その③】日々の出来事
AT小型限定普通二輪を取得するまでの道のり【その③】
AT小型限定普通二輪を取得するまでの道のり【その②】

第2段階のみきわめ試験も放置プレーでなんなくクリアし、いよいよ卒業検定に臨む日がやってきた。

この緊張する感覚は、国家試験以来ではなかろうか。

朝早く8時ぐらいから試験会場である教習所所定の場所に待機する。

今日、卒業検定を受講する生徒は私を含め4人。

MT普通二輪を受講するのは、180cmのパーマをかけた少し馴れ馴れしい青年と165cmの黒髪短髪痩せ型の少年の2人。

AT大型普通二輪を受講するのは、180cmEXILEのタカ系の清潔感あふれる青年。

そして、AT小型限定普通二輪を受講する私の計4人だ。

皆緊張しているかと思いきや、緊張しているのはEXILEのタカと私ぐらいで、後の2人は緊張していない様子だった。

教官がやってきた。

メガネを掛けた少し強面の教官。

指導は少し厳しそうだが、根は優しい系だろう。

卒業検定の諸々の注意事項を説明した後、これだけはやらなければ合格するというったポイントを厳しいながらも丁寧に教えてくれるところが、強面ながらも我々に良い印象を与えている。

さて、そんな大切な説明を軽く聞いている輩がいた。

MT普通二輪を受講しようとしている2人だ。

私から見てもあまり真剣に聞いていないような態度だったので、教官が怒るのではないかとヒヤヒヤしていたが、“お金を払って不合格になるのは自分たちの責任”なので、教官は割り切っているように見えた。

さすがは大人な対応である。

MT普通二輪の生徒2人は終始笑顔だった。

「いや〜早くスピード出して公道や峠を走りたいです。」

「急制動の練習の時間が1番スピード出せて楽しかったですよね。」

「もうバイク納車してて、早く乗りたいんですよねぇ」

「え?何買ったんですか?」

「HONDAのレブルです♪」

「えーめっちゃかっこいいじゃないですかぁ!」

「だから、今日の試験めちゃめちゃ頭の中でシュミレーションしたんで自信あります♪」

なんて楽しそうな会話なんだ。

しかし、会話の中で危なげな発言もあり、青年と少年の身が心配になったりもした。

これで人を殺めたりしたら、どんなに苦しい人生を送るのだろうかと想像したら、余計怖くなってしまった。

今、ブログを書いていてもそう思う。

さて、いよいよ卒業検定が始まろうとしている。

最初の生徒は180cmのパーマの馴れ馴れしい態度のレブルをもう納車した青年だ。

意気揚々と「もう始めて良いですか?」と教官を煽るぐらいの余裕っぷりを見せて、さっそうと走り去っていった。

さて、まずは序盤の8の字カーブ。

問題なくクリアした。

一時停止も問題ない。

続いての難所は私の苦手な一本橋。

遠くから見ていて特に問題なく通過したように見えた。

しかし、次の瞬間。

ブイイイィィィン!!と大きな音を出して転倒した。

集合場所に待機していた3人は、あーー不合格だわと一同にして思ったに違いない。

青年はゆっくり車体を起こし、半周したら集合場所に戻ってきた。

「やっちまった〜めっちゃ悔しいんだけど〜」と言いながら、へらへらしながらやってきた。

不合格となったものに対しては、急に冷たくなる一同。

何故なら、なんと声をかければ良いかわからないからだ。

不穏な空気が流れている中、2番走者は165cmの黒髪短髪痩せ型の少年だ。

彼は一度卒業検定に落ちたらしい。

そう180cmのレブル青年が言っていた。

生まれ持った馴れ馴れしさによって、聞き出した情報。

自分のタメにはならないが、集合場所に待機している受講生の話のネタにはなりうる。

不合格になった原因は、対向車線を走ってしまったからだそうだ。

クランクの後に右折するのだが、少年は右折した先の対向車線に侵入してしまい、その時点で不合格のクラクションを鳴らされたらしい。

「それ以外は全て問題なくクリアしていたのに、最後の最後に不合格となってしまい残念だった。しかし、もう2度と同じ過ちはしない」といって本日の卒業検定に臨んでいるとレブル青年は言っていた。

2回目の卒業検定だからな。

一同、少年を遠くから見守っていた。

前回、不合格となったクランクの後の右折。

対向車線に侵入しなければ合格は間違いない。

その瞬間、ファンファンファンとクラクションが鳴った。

また対向車線に侵入したようだ。

頭をうなだれながら、ハニカミ笑顔で私たちがいるところに戻ってきた。

笑顔を必死で作っているが、どこか悔しさが滲み出ている。

また同じミスで不合格。

先程の青年以上にかける言葉が見つからない。

同じミスをするバカはいないだろうと一同思っていたが、実際同じミスをして戻ってきたので、これはもう何も触れずにそっとしておくことが1番だと思った。

そんな中、レブル青年は「一緒にまた卒検受けようぜ」といった具合に仲間意識を発動。

少年は、同じ過ちをしたショックとレブル青年と同じ不合格の立場になって愕然としている様子だった。

レブル青年は、そんな少年の心の動揺を微塵も感じていないようだった。

かわいそうに。

3人目は、EXILEのタカ。

彼は、前の走者と違いAT大型二輪のため、車体がだいぶ大きい。

彼と少し話したのだが、大型二輪は車体が大きいが故に、一本橋を走り終えた後のUターンが難所だと言っていた。

小回りが効かないため、少しでも大きく回ってしまうと、車線からはみ出してしまうし、小回りすぎても、車体が傾いてしまい足をついてしまう。

いずれの状態になっても不合格だから、心配だと。

「今日まで頑張ってきたんですから、きっと大丈夫です。やってきたことを出し切りましょう。」と応援してあげた。

青年は身長が低いお兄さんの意見にきちんと耳を傾け、「ありがとうございます。」と言って走っていった。

緊張した空気の中、大型二輪が発進した。

一本橋からのUターン。見事に切り返したと思った瞬間。

教官のバイクからファンファンとクラクションがなった。

車線をはみ出してしまったらしい。

これで不合格者が3人となった。

こうなると、彼らの望みはただ一つ。

私の不合格だろう。

不合格への道連れを所望しているのは、彼らが放つオーラから重々よく理解できる。

「頑張ってきてください。」と声をかけられても、内心では落ちろと思っているに違いない。

そんなプレッシャーを感じはしたが、あいにく私は国家試験にも合格した強者である。

そんな軽いプレッシャーには全く動じないのである。

8の字、一本橋、急制動、クランクを一つずつクリアしていき、ゴールへの道筋が見えてきた。

それはまるで、富士山の山頂へ登頂したような感覚だ。

私は無事に試験を終了することができた。

過度な減点等がなければ、大丈夫だと確信していた。

試験終了後、合格発表は電光掲示板で通知される。

電光掲示板に通知された番号は私のみしか表示されなかった。

彼らには悪いが、とても優越感に浸らせてもらった瞬間だった。

さらば、所沢中央自動車教習所。

これで、もうここには来ることは無くなった。

鴻巣に行き、書類申請を行った後は免許証が発行されるのを待つだけだ。

長い道のりだったが、卒業検定が1番の思い出となったかもしれない。

ありがとうレブル青年。

ありがとう対向車線に侵入した少年。

ありがとうEXILEのタカ青年。

君たちと出会えたから、これだけの文字数のブログを書くことができた。

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