映画「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」の感想

好きなもの・こと

昨日、投稿したのでお分かりだと思いますが、11月11日に映画「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」が公開されました。

今回は、その映画の個人的な感想について触れていきたいと思います。

ネタバレを含みますので、まだ映画を見ていない人は注意してください。

一作目「ブラックパンサー」を振り返って

MARVEL作品の中でも屈指の人気を誇る映画「ブラックパンサー」。

その作品の中で、主人公ティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンは、2020年に大腸癌で亡くなってしまいました。

「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」は、その彼がいない中での続編です。

“ブラックパンサー”というキャラクターが好きな私は、一体どんな作品になるのか期待不安の狭間にいました。

なぜなら、“ブラックパンサー”はティ・チャラ/チャドウィック・ボーズマン以外に考えられなかったからです。

戦士として正義感に溢れながら勇敢に敵と立ち向かう一方で、ワカンダの民や家族に見せる優しさとはにかむ笑顔。

そんなキャラクターを演じることができたのは、チャドウィック・ボーズマン以外にいませんでした。

そんな彼が演じるキャラクターを誰もが愛したからこそ、亡くなってしまった時の悲しみは想像を絶するものでした。

代役を立てなかったことにリスペクト

今作「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」では、ティ・チャラ演じるチャドウィック・ボーズマンの代役は立てず、デジタル技術を駆使して映像を蘇らせることもしませんでした。

一作目の「ブラックパンサー」や「シビル・ウォー」、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」「アベンジャーズ/エンドゲーム」の彼が出演した映像のカットだけが、作品には登場していましたが、そのカットが流れるたびに、彼の思い出が私の胸に去来しました。

ふと気づいた時には、鑑賞中にも関わらず、目頭が熱くなっていました。

その構成に関して賛否はあるかもしれませんが、私としては非常にリスペクトしています。

亡くなった彼を悼むために、讃えるためには、軽々しく代役を立てて登場させることをしてほしくなかったからです。

観客と気持ちを共有

愛するものを失う悲しみは辛いものです。

誰もが、そのような経験をしていると思います。

今作では、現実世界でこの世から去ってしまったチャドウィック・ボーズマンを紐づけるように、映画の物語の冒頭からワカンダの国王であったティ・チャラが亡くなってしまう設定にしています。

作品に登場するシュリを中心としたキャラクター達は、皆、喪失感に囚われてしまうのですが、この設定によって、劇場の観客は作中の登場人物と気持ちを共有することができました。

亡くなってしまった者はもう戻ってきません。

それでも残された者達は、前に進まなければならないのです。

そのような悲しみを乗り越える物語を、観客は映画の登場人物と一緒に共有できたことは、素晴らしい体験でした。

兄をからかっていた妹は指導者へ

今作では、天才的な頭脳をもつティ・チャラの妹シュリを主人公としています。

一作目では、誠実な国王ティ・チャラをからかう健気な妹でしたが、今作では冒頭からティ・チャラの死を避けられなかった自責の念に苛まれます。

悲しみに囚われ、シリアスな感情が表現されていますが、物語が進行するとその感情は復讐へと切り替わってきます。

復讐に囚われ、ワカンダの民の命が見えなくなってしまいますが、母の声とともに、正気を取り戻します。

復讐という闇を克服し、民を思う指導者へと変貌するのです。

指導者へと変貌したシュリですが、それでも家族を失ったことに変わりはありません。

王族の家系は自分しかおらず、孤独と戦っていかなければならないのですが、そこに希望が照らされます。

それは、兄ティ・チャラと彼が愛したナキアとの間に息子がいたことです。

「あなたの家はハイチにもあるのよ。」というナキアのセリフを私はここでやっと理解しました。

シュリは、孤独ではなかったのです。

ワカンダという国以外に、もう一つの家、そして家族という存在がいることを知ったシュリは、きっと安堵と共に幸せを感じていたと思います。

この感情の起伏が激しいシュリという役柄を演じることは、とても大変だったかと思います。

そして、「ブラックパンサー」という映画において欠かすことができない“ブラックパンサー”というキャラクターの想いをシュリが繋いでくれたことは、ファンにとって非常に嬉しかったし、幸せでした。

この役柄の重責に見事応えてくれたシュリ役のレティーシャ・ライトを私は賞賛したいと思います。

まとめ

今作「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」は、映画の中のキャラクター達然り、キャスト陣、そして映画を見ている私達が一緒に悲しみを乗り越えられた、素晴らしい作品になったと思います。

すべてのブラックパンサー好きのファンの気持ちに見事に応えてくれたので、私としては大満足です。

フェーズ4の作品の中で、一番良かったかもしれません。

今回「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」を製作してくださったすべての関係者に、心から感謝を申し上げたいです。

是非とも、また劇場で見たいと思います。

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