愛知県の観光といえば、名古屋城や熱田神宮、トヨタの工場が有名かもしれない。
仕事の関係で、愛知県に住んでいたことがあるのだが、ちょうど知多半島の付根に位置する大府市という場所で賃貸を借りていた。
もし仮に、友人に愛知観光でおすすめのスポットは?と聞かれたら、有無を言わさず一押しするのが知多半島だと思う。
中部国際空港セントレア、明太子のテーマパークもあれば、味ぽんで有名なMIZKAN MUSEUM(ミツカンミュージアム)、美浜のえびせんべい里、常滑焼に阿久比のたい焼き、パイナップルカレー、フルーツパフェ、ワカメのしゃぶしゃぶ、内海温泉、南知多のゲストハウス。
観光スポットから、宿泊、食に至るまで、何度足を運んでも飽きない。
しかし、飽きない理由は実は他にある気がする。
知多半島に足を運んでみればわかるが、この地域全体が穏やかで温かみのある雰囲気で満ち満ちているのを感じる。
おそらく、それは人の存在が大きく関与しているんだろう。
この地域で暮らしている人たちは、笑顔に溢れていて、親切、そして温厚な方々がとても多い。
仕事でご自宅へ訪問すると、「今日は野菜が取れたんですよ」といって立派に育ったキャベツや大根を頂いたり、夏にはキンキンに冷えた麦茶と旬のフルーツを用意されていて、「ちょっと休んでから仕事に行ってください」と労ってくれることもあった。
通りかかったご近所さんが気軽に話しかけてきたと思ったら、菊芋の佃煮や生麩の田楽を持ってきて一緒に食卓を囲んでいたりする時もあった。
他にも印象的だったのは、ご自宅に訪問してお茶を頂いていた時に、誤ってコップを落として割ってしまった時のことだ。
私は、うっかり手を滑らせてしまったことをお詫びすると、「きっとコップが滑りやすかったんですよ」と私をかばってくれる言い方をしてくれる。
これが違和感なく、自然に言葉として出ることが素晴らしいと思ったし、人の温かみを直に感じた瞬間だった。
人によっては、こういった労いや気遣いが、自分のテリトリーを犯してくることを好まない人がいるかもしれない。(自分がそうだったように)
しかし、それが嫌じゃない。
ただの親切心ではなく、人の温かみが通った心遣いなのだ。
「街は人によって作られる」と以前どこかの本に書かれてあったが、本当にその通りだと思う。
人の温かみがあふれていると、その地域や街にも人の温かみが通った空気が満ち満ちてくるんだろう。
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