あの日。あの雨が降った日。
まるで何かのご縁かのように。
感動した1日を体験した。
エアコンの出張見積もりを依頼するために、私は隣町までバイクで向かった。
その家電量販店までは自宅から40分かけて行かなければならない。
わざわざそこまで行くのは、エアコンの隠蔽配管の工事を請け負ってくれる家電量販店が他になかったからだ。
大雨の中、無事に目的とする家電量販店に到着すると、一台の大型のバンが駐車場に止まっていた。
駐車場には、その大型のバン一台以外に車はなかった。
私はそのバンの横にバイクを止めて、量販店のエントランスに向かった。
エントランスにて、検温と手指消毒をしたら、エアコンコーナーがある2階までエレベーターで向かうことにした。
上矢印(↑)ボタンを押し、エレベーターが来るのを待っていると、2階からエレベーターが降りてきた。
そしてエレベーターから1人の女性が降りてきた。
私は、彼女の通行を妨げないように脇にそれた。
脇にそれると同時に、私はポケットからスマホを取り出し、そのままスマホの画面を開き、相方に連絡し始めた。
「無事に家電量販店に到着しました。これから受付で手続きをしてきます。」という文章をLINEで入力するため、私はずっと下を向いてスマホの画面を注視していた。
文章を入力し終わったら、私はエレベーターにそのまま乗り込んだ。
行き先ボタンを押し、再びスマホの画面を眺め、ふーっと一息ついた。
そしてエレベーターのドアが閉まり始めた、その時だ。
「ちょっと待っっってぇーーーーーっ!!先生ーーーー!!先生ーーーーーーー!!」という大声と共に、買い物袋をふり上げながら、私が乗ったエレベーターに迫る人影が見えた。
「えっ!(驚)ちょっ!ちょっ!(汗)」
人影がエレベーターのドアに挟まっては危険だと思い、私は慌ててエレベーターの開くボタンを連打した。
ドアは人影を挟むことなく停止した。
どうにか人が挟まる事故は避けられたみたいだ。
一息ついて、エレベーターに迫ってきた人物をよく見てみると、それは勤務先の院長先生だった。
なんとも奇遇な。
「先生!なんでこんな辺鄙な場所にいるんですか!?」
“辺鄙な場所って。院長先生。それはここの家電量販店に対して失礼では?”と内心思いながら、院長先生にかくかくしかじか事情を説明した。
整理すると、先ほど2階からエレベーターで降りてき女性は院長先生だったらしい。
エレベーターから降りると、見覚えのある風貌の男性がエレベーターの脇に立っていることに気付いたが、男性は下を向いてスマホを注視していたため、はっきりと男性の顔を確認することができなかったようだ。
そのため、その時点では、まだ私であると確信を持てなかったらしい。
しかし、駐車場に置いてあるバイクを見たら、普段勤務先に置いてあるバイクと同じだったため、そこで絶対に私だと確信し、急いでエレベーターまで声を掛けに戻って来てくれたようだ。
院長先生はこの近辺にお住まいで、最近になってからこの家電量販店にお世話になっているらしい。
某有名家電量販店では、話を親身に聞いてくれないからだそうだ。
院長先生の言葉を借りて申し訳ないが、そんな辺鄙な場所にある家電量販店に私がいたことが、院長先生にとっては本当に驚いたらしい。
確かに、私もこの家電量販店にわざわざ40分もかけて来ている。
この時間帯に、この特定の場所で、職場の上司に出会える確率はとても低いため、何かのご縁を感じた。
しかし、それ以上に感動したことが他にもある。
院長先生が、わざわざ私に声を掛けに来て頂いたことだ。
院長先生は偶然会えた喜びから、わざわざ声を掛けに来てくれたんだと思う。
しかし、普通であれば「先日、あの店にいましたよね?」と後日職場で話を振って頂ければ良いものを、わざわざ走ってまで声を掛けに来て頂いたことにとても感動したのだ。
ご縁を大切にしようとする院長先生の“人柄の良さ”に、私はとても感動した。
私は帰宅し、このことを相方に話たところ、「きっと前世でも、あなたと院長先生は会っているんじゃない。じゃなきゃこんな偶然ないし、院長先生もわざわざ声を掛けに来てくれないと思うよ。」と言われた。
その通りなのかもしれない。
君の前前前世から僕は、君を探し始め、、、無事に見つかったようです。
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