午前中の仕事を終えて、午後の休みの時や、休日を利用して私は焙煎をしています。
焙煎機は家庭のガスコンロで使用できるものを利用しています。
仕様としては300gまで焙煎できるようですが、生豆を300g投入すると焙煎によって体積が増え投入口からコーヒー豆が溢れ出てしまうので、投入する量は最大でも240g程度にしています。
現在、焙煎機は多様な物が販売されていますが、アナログ感たっぷりの手廻し焙煎機で焙煎しようと思ったのには理由があります。
大坊さんに憧れてたからです。
大坊珈琲店は東京の南青山で38年間続いたコーヒーの名店です。
2013年にビルの建替えを機に惜しまれながら閉店されましたが、その後定期的なイベントで大坊さんのコーヒーを飲むことができると知り、2019年に初めて大防さんのコーヒーを飲みに行ったことがあります。
イベントでは、手廻し焙煎機で焙煎したコーヒー豆をネルドリップで丁寧に抽出して頂きました。
濃厚でトロッとしたtactileのコーヒーを口の中に入れると、苦味と共に凝縮した甘味を感じ、飲み干した後に口の中に広がるコーヒーの余韻はいつまでも続きました。
コーヒーカップには、いつまでもブラウンシュガーの甘い香りが残り、ずっと嗅いでいたくなる。
そんな素晴らしいコーヒーでした。
当時、サードウェーブコーヒーで価値観が広がっていた私にとって、大坊さんのコーヒーはさらに世界観を広げてくれたのを覚えています。
そんな大坊さんが焙煎している風景をYouTubeで見て、その所作にとても憧れました。
温度管理や焙煎の進行具合は長年の経験から。
まさに職人技ですね。
これに憧れて、手廻し焙煎機を始めました。
実際、焙煎を始めてみて、とても難しいことに気付かされました。
まるで生き物かのように、日々の気温や湿度によって焼き上がりの状態が変わってくるコーヒー豆。
悪戦苦闘する毎日でしたが、それでも味噌汁を作るかのように、試行錯誤することに楽しさを覚えました。
ある程度、焙煎が安定しだしたら、マルシェで手売りすることも始めてみましたが、コロナでそれもストップ。
今は、賃貸のマンションで細々と焙煎を行っています。
しかし、それも来月まで。
あともう少しで、ここの賃貸ともお別れです。
この賃貸マンションでの焙煎もあと数回もないかもしれません。
そう考えると、この場所で焙煎できなくなることが少し寂しくなってきます。
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