30年間守ってきた左薬指

結婚式のこと

指輪交換の演出を夢見て

結婚指輪を左薬指にはめる理由はご存知でしょうか?

心臓と結ばれている血管が1番近い指が左薬指であり、その指に指輪をはめることでお互いの心(愛)を守ることができると言われています。

医学的にはまったく正しくないのですが、キリスト教の挙式では、新郎新婦がゲストの皆さんの前で誓約をし、結婚指輪を左薬指にはめる演出が現在でも行われています。

その演出を相方は夢見てきました。

新郎新婦の指輪交換という演出。

この演出をするためには、指輪が必要です。

通常、挙式の3ヶ月前または最低1ヶ月前までに指輪は用意しなければならないとゼクシィに書いてあります。

しかし、結婚式まで45日を過ぎているにもかかわらず、その指輪を私はまだ購入していません。

指輪というものに価値を見出せていないからです。

しかし、相方は「指輪交換の演出をどうしてもやりたい!」と希求しており、その気持ちは十分に私も理解することができるため、指輪を探しに行くことになったのです。

指輪探しの旅 in ハリーウィンストン

早速、指輪探しの旅で向かった先は、ハリーウィンストンです。

さまざまな宝石商がある中で、私がハリーウィンストンを選んだ理由は、芸能人御用達だからです。

庶民が行くような場所ではないかもしれませんが、指輪のサイズを知る目的も兼ねて、上流階級御用達の宝石商はどんなところなのか一度体験してみたいと思っていました。

銀座にあるハリーウィンストンは、ドアマンが在籍しています。

お店に入ろうとすると、ドアマンがすぐにドアを開け、お店の中へ招き入れてくれるのです。

そして、すぐさまレセプショニストが来て、「今日はどういったものをお探しでしょうか?」と聞きにきます。

このホスピタリティの素晴らしさ。

これだけで、もう心が満たされて私は帰ろうかと思いました。

しかし、相方はショーケースの中の指輪に興味津々なので、もちろん帰りません。

ショーケースの中の指輪の値札を覗き見てみると、数字の5の横に、0が5つ。

わーお。

お値段も素晴らしい。

「こちらの商品は、当店で一番価格帯が安いシリーズになります。お試しになられますか?」とショーケースの前に立っていた担当者が勧めてきたので、遠慮せず試してみることにしました。

担当者は40代後半の少しなよっとした中年の男性。

ショーケースから取り出された煌びやかな指輪。

担当者はゆっくりと相方の左薬指にその指輪をはめていきます。

担当者は、左薬指の第2関節の皮膚を傷つけないようにゆっくりと指輪を動かしていきます。

そして指輪が相方の指の末端まで入ると、ほっと安心すると共に、神々しく輝くダイヤの煌らめきが指から放たれます。

なんとも美しいのでしょうか。

実物をつけると、まったく印象が変わります。

指輪は、ショーケースに並んでいても、まったく生かされない。

指につけてこそ、その美しさが発揮されることを知ることができました。

その後、指輪のサイズを確認し、他のお店で検討しているものもあるので、また連絡しますと担当者に伝え、私たちはその場を後にしました。

私としてはとても良い体験ができ、有意義な時間だったのですが、ふと横に並んで歩いていた相方の顔を見ると、なんだか様子がおかしいことに気がつきました。

お店から出た相方の顔は少し虚ろで、遠くの方を見つめていました。

「どうしたの?」と私が聞いてみると。

「私、この30年間、あなたのために左薬指を守ってきたんだけど、あっさりお店の担当者に左薬指を奪われてしまったわ。想像以上に悲しいし、悔しいわ。」

相方の気持ちわからなくもないけど、指輪を探しているんだからこうなることは予想できたでしょうに。

どうしようもないじゃないかと思っている私。

「ごめんね」とだけ言って、しれっとその場から逃げだそうかと思いました。

とにかく指輪探しの旅は始まったばかり。

まだまだ問題は山積していますが、今日は相方の気持ちに寄り添い一緒に映画でも見て、嫌なことは忘れてもらいましょう。

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